前回は漢字・文法・古文の解説を行いました。今回はその現代文編になります。
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新潟県の現代文は、2つ本文が書かれているのが特徴です。とはいえ、問題のほとんどは前半の1つ目の本文から出題されています。2つ目の本文は、1つ目の文章で書かれている筆者の意見、主張をより深めるための文になっています。
この2つ目はただ書かれているわけではなく、一番最後の100字を超える記述問題に使用されるべき文章になるので、時間がない中でもしっかり読み込まなければなりません。

では現代文、大問4⃣の解説に入っていきます。

問題解説

                  

問1
文章中Aに最もよくあてはまる言葉を、次のア~エから一つ選び、その符号を書きなさい。

ア)なぜなら
イ)もし
ウ)ところで
エ)むしろ

正答 エ

接続詞を答える問題です。
Aの直前では「私たちは自分の考えを変えたいと思っていない。」と書いてあります。
Aの直後では「柔軟ではない相手や融通の利かない相手の物事を変えたいと思っている。」と書いてあります。

「○○ではない。⇒(ではどう思っているのか)⇒××である。」と話が進んでいるので、答えはエ)になります。

ア)とイ)はそれぞれ決まった形で言葉が使われていないので×になります。
ア)ならば、理由や根拠を示す「なぜなら~(だ)から」という形、イ)ならば、仮定の話を示す「もし~ならば」というのが正しい形です。しかし、どちらもこの部分には登場していません。
ウ)は話題を変えるときに使われる接続語ですが、話題はまだ変わっていません。
このように、消去法からもエ)であることがわかります。

問2
文章中のaに最もよく最もよくあてはまる言葉を、次のア~エから一つ選び、その符号を書きなさい。

ア)受動的
イ)画一的
ウ)表面的
エ)積極的

正答 ウ

周辺の文章を読み、適切な語句を選択する問題です。
このような問題はそれぞれの語句の意味を知っておかないと、鉛筆を転がして神様にお祈りしなければならなくなります。語句の意味はそれぞれ、

・受動的⇒自分の意志からでなく、他人からされること
・画一的⇒すべてのものが一定にそろっていて、個性や差がないこと
・表面的⇒うわべの、見かけだけであること
・積極的⇒自ら進んで行うこと

という意味にになります。

aの直前を要約すると、「物事がうまくいかないときは、知識や経験から見方を変える」という趣旨の内容が書かれています。けれども「自分自身の認識は変えない」とも書かれています。自分自身が関わる表現のア)とエ)は正解ではないことがここでわかります。
また、次の問題に関連する傍線部(1)に「~『根本的な』見方を変える必要がある」という記述があります。その前段階の話をしているわけなので、根本的な(物事の大元)を見方を変える前の話なので、エ)の表面的を選べばいいことになります。
イ)の「画一的」という言葉はここで使うと文章の意味がおかしくなるので間違いです。

問3
傍線部(1)について、筆者がこのように述べるのはなぜか。その理由を、35字以内で書きなさい。

正答例 物事の解釈を変更するだけでは、深刻な事態を乗り切ることはできないから。(35字)

傍線部の理由を問う問題です。「根本的な見方を変える必要性に迫られる」のはなぜかを答えればいいわけです。傍線部(1)に「そんな場合には~」という記述があります。これは指示語で、「そんな場合」とはどんな場合か。指示語の内容は直前を見ればわかります。第3段落7行目、「生死にまつわるようなこと、自分のアイデンティティの危機、混乱した状況や先行きの全く見えない社会不安」がある場合だとわかります。
必要性に迫られる理由は、第3段落に記述されています。要約して書くと、
 ・物事の解釈の変更=自分に都合の良い変更
 (・見方を方向付ける自分の考え方は固定化している)
 ・日常的な問題であれば何とか乗り切れる(=非日常的な問題は乗り切れない)

これらの内容を、35字以内にまとめればよい。


問4
傍線部(2)とはどういうことか。60字以内で書きなさい。

正答例 自分が見たい部分や一度信じたことにだけ、繰り返し目を向けているうちに、自分の見方を固く信じて疑わないようになること。

傍線部(2)を説明する問題です。
第5段落冒頭で、「自分の認識を変えられても、それでも深刻な事態が襲ってきたらどうなるか」という問いかけ(筆者自身の問題提起)に対して、「まなざしを固定化する」という答えを筆者自身が出している。これがどういうことか、という問題である。これも傍線部(2)がある第5段落内で説明されている。 

 ・答えが定まらない状態は苦痛
 ・苦痛を和らげるために答えを決めて気持ちを強める
 (都合の悪いことは排除、見たい・信じたいことに目を向ける)
 ・繰り返すうちにまなざしが固定化

これらを、文章中の言葉を使いながら60字以内に収める。

問5
傍線部(3)について、筆者がこのように述べるのはなぜか。その理由として最も適当なものを、次のア)~エ)から一つ選び、記号で答えなさい。

ア)相手の認識を改めるよりも、自分の見方が間違っていると素直に認める方が、私たちには容易いから。
イ)自分の認識を改めるよりも、自分に都合の良い方向に物事の解釈を変える方が、私たちには容易いから。
ウ)相手の認識を改めるよりも、相手の意見に合わせて自由に発想を変えていく方が、私たちには容易いから。
エ)自分の認識を改めるよりも、自分の都合に合わせて相手の意見を変えていく方が、私たちには容易いから。

正答 イ

第6段落4行目~6行目にイ)の選択肢後半ズバリが書いてあります。また、相手の意見を変える話は最初からしていないことからも、イ)を選ぶことができます。

問6
次のⅡの文章は、Ⅰの文章と同じ著書の一部である。波線部分とはどういうことか。ⅠとⅡの文章を踏まえ、120字以内で書きなさい。

正答例 深刻な事態が続くと、私たちの見方は固定化し、自分の見方を正当化してくれる情報を求めるようになるので、多くの情報の中から何が正解かを判断するためには、自分が信じる常識とは固定観念にほかならないものであると、改めて確認する必要があるということ。

これまで追ってきた筆者の主張をまとめあげる記述問題になっている。注目すべきポイントは、
 ・深刻な状態が続くと、自分たちの見方は固定化する【第5段落】
 ・小さい頃からの蓄積である、自分が信じる常識(都合のいい情報)は固定観念である【第5・7段落】
 ・情報が溢れる社会の中で、何が正解かを簡単に下せないとき「常識とは何か」を問う【Ⅱの2段落】

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