令和4年度の入試問題は、前年度と同じ構成で出題されていました。大問が四問の構成です。国語は、ここ数年は平均点が徐々に下降傾向にあり、令和3年度入試の平均点は52.0点でした。全受験者の平均点がほぼ半分の得点率となっているわけなので、難関校合格にはでは80点代後半~90点台をとる必要があることが想像できます。新潟県の入試は、平均点が50点強になるように問題が作成されています。ということは、従来の作成意図に沿った問題になっていたようですね。今回の大問3の古文のように、正答率は高い問題に混じって時折正答率20~30%代の問題が出てきます。高得点を取るには記述問題はもちろん、こういった受験生をふるいにかける問題にも対応できる力を養わなければなりません。順番に確認していきます。大問1は漢字の読み取りと書き取りでした。各五問ずつ、以下のように出題されました。
漢字の読みとり
1 美しい絵に心を奪われる。 2 空に白い雲が漂う。 3 登場人物の心理を描写する。 4 抑揚をつけて話す。 5 商品を棚に陳列する。
漢字の書きとり
1 氷をコマかく砕く。 2 実験をココロみる。 3 友人の意見にキョウメイする。 4 生徒総会にギアンを提出する。 5 仕上げのダンカイに入る。
配点は一問につき2点で、全部で20点。どの読み・書き問題も基礎的なものですので、ここでは漏らすことなく得点したいところです。書き終わりの「とめ・はね・はらい」に注意して、ケアレスミスをなくしましょう。
大問2は現代にも古典にも通ずる国文法の問題です。配点は3点×5問の15点。品詞の識別はもとより、今年度は俳句の季語や手紙の書き方に関する問題が出題されていました。難易度は高くないものの昨年度に比べ、少し王道から逸れたような問題が出ていました。
(3)次の文中の「ない」と同じ品詞であるものを、あとのア~エの_線部分から一つ選び、その符号を書きなさい。
・森の中はとても静かで物音ひとつ聞こえない。
ア 次の目的地はそれほど遠くない。 イ 姉からの手紙がまだ届いてない。 ウ この素材は摩擦が少ない。 エ 私はその本を読んだことがない。
このような「ない」の識別など頻出問題とされるものは多くありません。対策をきちんと行い、点の取りこぼしを防ぎましょう。
令和2年度入試までは短い文章があり、その文章内の、傍線が引いてある言葉の意味や使用法についての問題でした。昨年度からは文章がなくなり、純粋な四者択一問題となっています。文章を読む必要がなくなった分、時間がかかる問題ではなくなったので、論述問題にさける時間が多くなりました。難易度も変わっていない印象なので、受験生には追い風の変更ですね。
大問3は、「無名抄」とそれについての対話が問題になっています。古文の原文が掲載されていますが、現代語訳がところどころ補われている箇所があり、かつ着目すべき部分はその後の対話で取り上げられています。ですので、専門的な古典の知識はなくても高得点を狙えます。記述問題もありましたが、問われていることそのものは標準的な難易度でした。いずれこれらの問題については、分析を行う予定です。じっかりと基本的なことを学び、正しく読解ができれば、恐れるに足らずです。
続いては一番の鬼門、大問4の現代文です。近年、新潟県の国語の入試問題では、一冊の著書から2か所抜き出して掲載し、二つを読み比べて解く百二十字以内の記述問題が出題されています。令和2年度までは抜き出す箇所は1つで、字数制限も90字以内でした。新潟県の「令和3年度新潟県公立高等学校入学者選抜結果」の国語の解説には次のように書かれています。
全体として、次のような力をみることに留意しました。
○ 漢字の読み書き、語句の意味や言葉のきまりなど、国語に関する基本的な力
○ 主題を正確に理解し、筆者の考え方や登場人物の心情を読み取ったり、表現したりする
力
○ 文章の展開や文脈における語句の意味を正確にとらえ、理解する力
○ 主題に関する語句に注目し、複数の文章を比較して読み取ったことを、過不足なく表現
する力
最後の「主題に関する語句に注目し、複数の文章を比較して読み取ったことを、過不足なく表現する力」は新しく加わったもので、前年度まではありませんでした。
つまり新潟県が、「高校生になる人たちの実力を新しい視点ではかりますよ」と明示しているのであり、それに即した問題にバージョンアップしたということなのです。
この回出題されたのは、次の問題でした。
4⃣(6)次のⅡの文章は、Ⅰの文章と同じ著書の一部である。~(波線)部について、筆者がこのように考えるのはなぜか。ⅠとⅡの文章を踏まえ、百二十字以内で書きなさい。
設問の中にある~(波線)部には「風景について深く思索することは、自己の存在を深く思索することと同じである」とあります。両者が同じと言っているで、「風景について深く思索すること」と「自己の存在を深く思索すること」が2つの文章でどう述べられているかを理解し、その理由を述べればいいことになります。正答例を見ながら、書き方の確認をしていきます。
人が風景と出会うという出来事は、自己の存在を了解するという本質的契機を提供することであり、風景についての考察を深めるということは、風景とともに自分のという存在がこの世界に存在していることを実感し、人間の自己理解を深めることになるから。
波線部に使われている「思索」とは「論理的に考えを巡らせる」という意味で、「風景について深く考えることは自己の存在を深く考えること」と言い換えることができます。
Ⅱの文章の冒頭で「人が風景と出会うとき=人が『風景とともにある』ことを自覚した時」とあります。波線部の直前2文を要約すると、「風景について考えること=①そのような体験の契機に出会うこと②『風景とともにある』人間として自己理解を深めること」ということが言われています。
「そのような体験の契機」とは、第一段落で話されている「自己の存在を了解するということが、自己の存在の本質的契機である。風景との出会いは、そのような定期を提供する」に出てくる契機のことです。
よって、
「風景について考える」
=①…風景と出会う契機
=②…①によって自己の存在を実感する(自己理解を深める)こと
というふうになります。あとは字数制限に合うように、言葉を変えたりいらない言葉を省いたりすれば完成です。
文字だけだとわかりにくいので実際の問題と突き合わせて解説をご覧ください。
過去の入試問題は、『20○○年度受験用 新潟県公立高校入試 学力判定問題集』(新潟県統一模試会)や『20○○年度受験用 新潟県公立高校入試問題集』(教英出版)にてご確認ください。
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