●試験時間の中で正確に回答することの重要さ

生徒さんと、模試や定期テストの解き直しを行うこともあります。答え合わせのあとの「なぜ自分の回答が間違っていたか」を確かめる作業が大事であることは、以前のブログ(https://niigata-kokugojuku.com/dokkai-tokinaoshi/)で取り上げた通りです。記述問題で一文字も書けていないまっさらな解答用紙も散見されます。本人にとってその設問が手ごわいもので、筆が乗らなかったのかというと、そんなことはないというのです。ではなにが原因なのか。多くの生徒さんが「解答時間が足りなかった」と口々に言います。大学受験・高校受験はもとより、中学受験でさえも8,000字~10,000字程度の文章が問題として出題されることがある昨今、速く正確に文を読むトレーニングが不可欠といえるでしょう。

しかしながら、言葉をしっかり受け止めて、文一つ一つに重きをおいて読む、これはこれで意味深いことです。ただ、入学試験において、解答できる時間は無限ではありません。試験では、すみやかにかつ正確に問題を解決する能力があるか見極める目的もあるからです。そのため、文章の中のエッセンスを探し出し、素早くまとめあげた上で正しく解答できる力は身につけなければなりません。

この、時間内にまとめあげる力は社会人になってからも必要とされます。仕事において「期日に間に合いませんでした」は通用するでしょうか。競争相手がいる場面では、のんびりしていたら競合相手に手柄を取られた!ということも起こりえます。どうなるにせよ、身につけたい能力は多々あれど、迅速に事を運ぶ力は大切であると言えます。

●時間配分を考える

問題を効率よく解くときに必要なのは「時間配分を考える」ということです。問題を真正面からとらえ、杓子定規に一から問題を解いていくのでは、効率が良いとは言えません。過去問や普段の模試の経験から、どのような問題がどれくらい出題されるか、という経験は得ているはずです。その経験ももとにして、どの問題にどのくらいの時間をかけるか。試験問題を一度見渡してみてから、その時間を逆算するのがいいでしょう。

多くの入試に出題される問題は、漢字や文法などを扱う知識問題と文章の読解問題、この2つに大きく大別されます。まず知識問題から取り組みます。これは鉄則です。大問1題につき大体5分、時間がかかっても10分で区切りをつけて先に進むようにします。

お次は読解問題です。一題しか出題されてない場合はもとより、二題以上出題されているときこそ、いかに時間配分をするかが肝要になってきます。それぞれの問題にきちんと時間をかけるようにしましょう。片方の問題に執着し、ほかの問題が疎かになることはあってはなりません。全部解けなくても、気持ちを切り替えて次に進むことが大切です。「時間が余ったら戻って考える」くらいの心構えでいいのです。合格のためには満点に固執する必要はなく、取る必要も無いのです。

50分の試験を例にとってみましょう。1⃣漢字の読み書き、2⃣文法・語いを問う問題、3⃣小説の問題、4⃣論説文の読解問題、という想定です。1⃣・2⃣の知識問題にかける時間は5分×2で10分。残りの40分を3⃣・4⃣の読解問題にかけることができます。基本的には、残り時間の半分程度をそれぞれの問題に充てましょう。かりに小説が得意だったならば小説に15分、論説文に25分充てるなどと決めるといいでしょう。大切なのは、先ほどの話の通り自分の決めた時間その問題に取り組んだら、次の問題へ進むということです。「それ以上時間はかけない!」と自分の中でルールを課すことが大事です。

取り組む文章の順番も決めておくとよいでしょう。「先に得意な小説をやる」でも、「苦手な論説文」をやるでもどちらでも構いません。決めておくことが大事なのです。得意な方を先にやれば、苦手な文章に時間を残せる。苦手な方を先にやれば、あとは気が楽だ。など自分に合った考え方で試験に取り組むことがポイントです。順番を決めておくことで心にゆとりが生まれ、自分の力をより発揮できます。

●どの問題にどう取り組むか

漢字・文法などの知識問題はスピードが命です。知っていれば解けるし、知らなければ解けない。稀に、思い出せずに考え続けてぽっと思い出せる時もあります。しかしそこで時間をかけて、後の読解問題に書ける時間が短くなってしまっては意味がありません。先ほどのルールに従い、自分で決めた時間問題に取り組んだら気持ちを切り替えて、先に進みましょう。

続いて読解問題に入っていきます。入試問題のメインですね。いきなり文章を読み始めるのではなく。まずは設問に目を通しましょう。この先何がどのように問われているかを確認することで、文章のどこに気を付けて読めばいいかが見えてくるからです。ざっくりでかまいません。

課題意識をもって文章を読むことが大事です。論説文であれば、「この具体例は何を伝えたいのかな」「筆者の主張は〇段落目に集約されていそうだ」など文章全体を40字ほどに要約するつもりで読み進めるとよいです。また、物語や小説ならば登場人物は誰か、どんな場面なのか、どんなストーリーで展開しているのかなど流れを意識して読むようにします。

文章を読むときは、1分で500字程度読むスピードを心がけましょう。3000字なら6分、5000字なら10分といったところです。もっと早く読むことを求められる場合もありますが、まずはこのスピードに慣れていきましょう。

設問には時間をたっぷり使って解答することが大切です。しかしながら、設問の中には大人にも解くのに一苦労な難問も隠れています。時間は効率よく使わないとすぐに足りなくなってしまうでしょう。ですので、5分考えてわからなければ、いったん解くのをやめて次の設問に進みます。解けなくとも気に病むことはありません。時間が余った時に戻って、最後にまた考えればいいのです。

難しい問題と相対した時、「この問題を解くまで進まない!」と意地になってしまう受験生は多いです。しかし冷静になってみましょう。求められているのは「合格点」であります。難しい問題を解けることしたことはありません。しかし、試験問題全体を通しての合計が合格点です。「より多く点を取るにはどうすべきか」に注力することが大切です。普段の模試からこの点に気を付けて取り組み、本番で実践できるように練度を高めていきましょう。

●普段から「タイムプレッシャー」をかけておくこと

当たり前ですが、日本の入試は制限時間が設けられています。時間を制限された中で問題を解く、というシチュエーションに対応したトレーニングを行う必要があります。国語に限った話ではありません。学校のワークでも市販の参考書でも構いません。ほとんどの問題演習には制限時間が書かれています。20分と書かれていたら、それよりも短い15分で解いてみるなど常に時間を意識した取り組みが不可欠です。これは試験のためだけでなく、お子さん自身の思考・問題処理能力の底上げにもつながります。やらない手はありませんね。

脳科学者の茂木 健一郎さんの著書『脳を活かす勉強法』には、次のように記されています。

「タイムプレッシャー」を意識して勉強するということは、とにかく、これ以上早くできないという限界を超えて、さらに早くやろうとするかなり負荷の高い行為です。
これを何度も繰り返すことによって、人間の能力はどんどん上がっていきます。そのためには、「タイムプレッシャー」を楽しむ、という気持ちがとても大切なのです。

当塾の学びでは、速く正確に読むための練習も取り扱っております。。体験授業でもその方法をお伝えしています。体験授業については、こちらhttps://niigata-kokugojuku.com/taiken/をご参照ください。