受験シーズン到来

本格的に受験シーズンに突入してまいりました。今年の大学入学共通テストは14日、15日に行われます。また、新潟県の中学受験は、年末までにそのほとんどが終了し、欠員補充のための受験も新年早々に終わり、後は結果を待つのみとなっている状況です。私立高校の受験は2月の上旬から順次スタートし、1か月ほど立った3月7日・8日に公立高校の入試があります。当塾は、新潟高校の受験生が中心であり、1月中はまだ準備期間、2月中のいわゆるお試し受験、併願入試へ向けて日々努力を続けています。

その学校に進学するかしないかはさておき、合格通知を受け取るということは、受験生にとって大変大きな喜びになります。今まで頑張ってきた努力の積み重ねが認められたわけですから。次の大本命の志望校に向けての大きな一歩であり、自信につながること間違いなしです。また、「どこにも進学できない」という不安がなくなることで、精神的に少し余裕が出て本来の実力を発揮しやすくもなります。ただ、ここからのもうひと踏ん張り、結果大きく左右する大事な期間、そういった心構えで今後の試験に備えてほしいと思っています。

当塾は、一対一もしくは一対二の個別指導、講師は私一人であります。よって多くのお子さんの包括的に指導する、ということはできません。しかしそれでも、お子さんお一人お一人の成長を間近で感じられることが大きな利点であると感じております。国語の読解問題が苦手だったお子さん、語彙力が低く文章の意味が把握できなかったお子さん、これらのお子さんたちがいつの間にか解法を習得して、満足のいく点数を取れるようなっています。これからは、志望校に確実に合格するための「上乗せ」が必要です。より理論的に、より精度を上げて問題取り組んで正解できるように、今からでもできる即効性に優れた施策について、お話していきます。

過去問を解いて自信をつける

入試前のこの時期に大切なのは、今までの努力・学んできたことの積み重ねに誇りを保ち、さらに点を取る力を伸ばすことです。受験生は、概ね夏休み中~夏休み明けから赤本を買ったり、学校からの斡旋で問題集を買ったりして、過去問を解いてきたと思います。それをずっと続けてきて、本番も近くなってきたこの時期に本命校の過去問を「新たに」解いたとき、期待していた点数出なかった場合、お子さんの気質に関わらずせっかくの自信を失ってしまう可能性があります。

もし過去問演習をするのなら、これまでに解いたものの中のどれかをもう一度解いてみましょう。改めて解いてみることで解法を確認し、振り返りを行ってみるのです。もしその時解いた解答用紙があれば、是非とも見返してみてください。その当時は正解できていなかった問題が正解できるようになっているはずです。この作業、向かいの自分と向き合うような気がして少しムズムズするかもしれません。ですが、これを行うことで本番では冷静に自分を見つめ、本来の実力を発揮できるはずです。

この作業は解き方の確認が中心です。それ相応に時間をしっかり設けて行う作業なので、じっくり行いましょう。その一方で、集中して問題を解く練習を続けていくのも、もちろん忘れてはいけません。受験には制限時間があります。迅速に問題を解くための勘を鈍らせないトレーニングも変わらず続けるのがおすすめです。この練習をするときは、志望校でも併願校でもない他県の学校の過去問や塾のテキストなどを用いるといいです。女子校が志望校ならば男子校の問題を解くのもありです。採点後、点数が芳しくなくとも気を落とすことはありません。志望校でも何でもない学校です、できなくて当然と思うくらいでかまいません。何より、その受験のための準備はしてきていないのですから。

このトレーニングをするときは、可能な限り新しい年度の過去問を選ぶのがいいでしょう。なぜかというと、例えば、とある年の入試で出題された作品があるとします。何らかのいい理由でそ注目された場合、その後数年は高確率で他校・他県の入試でも出題されるからです。もし本番で同じ作品が出題されれば、しめたものです。

出来なくて当然といいましたが、よくできていたら、大いに自分を褒めてあげましょう。どんな問題が来ても対応できる!と自信をつけて、さらなる努力の糧にすることができます。この時期は、明るく前向きな気持ちでいることが大切です。

知識はつけるのをやめない

お次は、熟語や文法などの知識が問われるものとの向き合い方です。当塾生もそうなのですが、過去問から語彙を問うものや漢字テストなどを行うと、普段全問正解の子でも全問正解でない場合があります。この時、ここも間違った、あれも間違った、どうしようどうしようと右往左往するのでなく、「知らなかった漢字が見つけられた」くらいの心持ちでいましょう。そして、この間違いをチャンスととらえ、この場で覚えてしまえば何の問題もありません。そうやって間違った漢字・語句だけを一冊のノートにまとめるのもいいかもしれません。知識力は試験直前まで上がり続けます。覚える量がそもそも膨大なのですから、直前まで分からない問題が出てくるのも当たり前なのです。間違いは目立ちますがせいぜい一から二題のはず。今からでも身につけられます。

●不用意な失点を避ける

塾などで行われているテストや模試の帰ってきた答案用紙を見ていると、なんとももったいなく感じることがあります。陥りやすいミスにまんまと陥っている、すごくおしいケースが散見されるのです。ケース別にみていくと、

「なぜでしょうか」「理由を答えなさい」→「~から。」

「どういうことですか」→「~ということ。」

「筆者の考えを書きなさい」→「~と考えている。」

など、設問に合わせた答え方をしていれば何の問題もありません。理由を聞かれている問題で、解答の語尾を間違えて-1点。それが何か所もあるとみるみるうちに点数が減っていきます。語尾の間違いは、指摘されないと高校生になっても直りません。

また、「正しくないものを選びなさい」という設問で、「正しいもの」に〇をつけて間違う、「20字で抜き出しなさい」と記してあるのに、解答は18文字など、問題文の重要な点を見落としていることもあります。

このように、「あと10点位すぐに点数が上がるのに…」と思うことは少なくありません。このようなことはなぜ起きるのか。それは設問をしっかりと読んでいない、理解していないということに尽きます。せっかく内容を理解していても設問に答えられないとしたら、それは間違えているとみなされてしまうわけです。

こういったもったいない経験無くすために、お子さんには、問題を読む前に心を落ち着けて、冷静に問題文を正確に読むことを、日ごろから徹底して癖付けしてほしいと思います。こういうミスがなくなれば、10点は上がります。いろんな教科で同じようなことがあるならば、その分さらに点数は伸びていきます。

傍線部は穴が開くほど読む

国語の読解問題では、傍線部や傍線部を含む一文に解答のヒントが隠されている場合がとても多いのです。読解問題を苦手とするお子さんは、傍線部からはるか離れた箇所ばかりに目を向けてしまいがちです。文章を一から読み直してしまう、というお子さんもいます。傍線部、傍線部を含む文、含む段落と傍線部をしっかりと読み、答えを探す範囲を徐々に広げていくことを練習していくのが良いと思います。ここで一つの例をご紹介します。

~2020年度 女子学院中学校 大問二 問十二~

傍線⑩「おんぶしてもらったり、もたれさせてもらったりもする」とありますが、他の人に対してどのような関係であると考えられますか。最も適切なものを次から選びなさい。

ア どんな時も相手に甘えてしまう関係

イ 強いものが弱いものを助ける関係

ウ 何かを与える代わりに何かをもらう関係

エ 安心して相手を頼っている関係

この問題は、設問と選択肢を的確に読むことで解答を導き出すことができます。他人に「おんぶしてもらったり、もたれさせてもらったりもする」関係を選択肢から選ぶ問題です。傍線部の末尾「~もする」とあることに乳黙します。これは、「~ときもある」という意味で使われていますですから、「どんな時も~」とあるアは、誤りとわかります。傍線部の内容は、他人に頼っている様子だとわかるので、残りの選択肢の内容からエが選べるわけです。

難関校の問題も、解法を知って正確に読めば正解できることがわかります。正しい解き方を練習し、身につけておけば怖い問題もなくなります。

傍線部で使われている語句に着目したり、指示語(それ・この○○など)があれば、それが何を指しているのかを明確にしたりするだけで、正解に近づくということを頭に入れておきましょう。

試練は・・・

この時期になると、自分の受験時代を思い出します。その時は自分のことで精いっぱいで、身の回りの大人がどれだけ自分の受験のために頑張ってくれていたか、気にしたこともありませんでした。現在は塾講師として受験生と関わっています。あの時、自分では気を向けることのできなかった、親からの子供への愛情や期待は理解しているつもりです。あのころとは違う、受験生とそのお宅を応援する立場から、親御さんには心から頭が下がる思いです。

高校受験の頃にお世話になっていた家庭教師の先生から、こんな言葉をもらいました。「試練は超えられる人の前にしか立ちはだからない。」今直面している辛くて大きな壁。それは乗り越えられるからこそ、私の目の前に立ち現れている。今努力している努力の積み重ねが、やがて実を結び光り輝く未来へつながる。だから、目の前の困難は越えられる。 合格する未来が見えない。けれども確実に力はついてきています。残りの時間、まだやれることはたくさんあります。後悔も不安もなく、目のまえにある学びを続けていくことが、合格への近道となることでしょう。