前回に引き続き、入試問題の解説を行っていきます。前回は漢字の読み書き、基礎知識、現代文の解説を行いました。

https://niigata-kokugojuku.com/wp-admin/post.php?post=238&action=edit

今回は古文の解説です。長い記事ではありませんがお付きください。

中学校の授業では、『竹取物語』『枕草子』『平家物語』『万葉集』『おくの細道』などを学びます。物語、随筆、軍記物、和歌集、紀行文などジャンルの違いはあれど、古典の基礎を学ぶには最適な箇所を作中から抽出してあります。

高校入試には上記の作品以外からも出題されます。『源氏物語』や『伊曾保物語』などメジャーなものからマイナーな作品まで、出題範囲は多岐にわたります。作品から出題される問題を決め打ちするのは無理なので、どういう問題が出題されるかという傾向をつかむことで対策をしていきます。

出題される問題の形式は、おおまかに分けると

・歴史的仮名遣い⇒現代仮名遣いに直す問題
・文の訳(単語などの意味)を問う問題
・動作の主語や敬語の相手を問う問題
・筆者の主張や教訓、話のオチを問う問題

などがあります。
問題を解くうえで肝になる問題は、一番最後の教訓やオチについての問題です。作者が物語を踏まえて「○○は××するべきだ」という思いを、きちんと読みとれるか。そこが理解できているかが重要なポイントです。

これをふまえて、令和4年度の古文の問題をみていきます。

〇実際の問題

この年度は鴨長明の『無名抄』という鎌倉時代に書かれた古文が出題されました。

(1)は歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに変換して書く問題。文中の「思ふ」に傍線がついています。まずすべて平仮名に直すと「おもふ」と書きます。古文で、ハ行が文中にある場合、ワ行(わいうえお)として読むことがあります。今回はそれに該当するので、現代仮名遣いに直して書くと「おもう」と書くのが正しいです。

(2)「口惜しや」の意味を問う問題です。「や」は単語の意味を強調する助詞でそれ自体に意味はありません。ですので、この場合「口惜し」の意味を問われていることになります。「口惜し」は「くちおし」と読み、「くやしい・残念だ」という意味です。選択肢の中で上記の意味を含むものは(ア)しかないので一発ですね。覚えいているかいないかの問題です。「口惜し」は覚えなければならない古語の一つです。

(6)は古文について調べた生徒と先生の会話からの出題です。「思ひ量りもなく」という言葉の意味を問われる記述問題です。試験の記載文章自体には書かれてはいないものの、この後読み進めると出てくる表現の意味を問う問題です。これは古典の知識を総動員して解かなければなりません。


まず文法・単語知識を用います。「思ひ量り」の部分、これは「思ひ」と「量り」に分けられます。「思ひ」は思うことつまり「考える」の意味を持ちます。そして「量り」のほうです。中学校でならう古文の助動詞に「推量の助動詞」があります。意味は「~だろう」と相手について推測する意味を持ちます。このことから、「思ひ量り」は「考え推測する」という意味を持つことがわかります。文中では「思ひ量りもなく」なのですから、「考え推測することがない」という意味になります。

では、文中で誰かが「推測できる場面があったか」を探します。生徒と先生の会話から、俊恵が基俊について「思ひ量りもなく」と言っていることがわかります。さらに会話文から、基俊は中国の故事を忘れていることが話されています。この物語の中で、俊頼の和歌を非難しています。そして、中国の故事を踏まえて、竜を和歌に詠んだことも生徒が話しています。以上のことから、

・俊頼は中国の故事を踏まえた和歌を詠んだ
・基俊は「たつ」が「竜(たつ)」であることに考えが及ばなかった

ということを踏まえて、解答をまとめればよいことになります。

教訓や話のオチはおおむね最後に書かれていることが多いです。その教訓やオチは文章のどの部分からきているのか、問題を多く解き古文特有の形式になれることが大切です。